不妊かも?と思ったら
すぐ検査へ!

男性、女性それぞれが最初に
やるべきことと不妊検査の内容。

不妊かも?と思ったらすぐ検査へ!

男性、女性、それぞれが最初にやるべきことをまとめました。

文:Coel運営チーム

監修:セントマザー産婦人科医院 田中温院長

セントマザー産婦人科医院 順天堂大学医学部産婦人科学講座 市山卓彦先生

掲載日:2017年8月2日。更新日:2018年7月26日

不妊検査を行っている産科・婦人科・泌尿器科クリニックを予約する。

不妊とは、“妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(1年間)妊娠しないもの”(日本産科婦人科学会)を言います。妊娠を望むあなたがこれに当てはまる場合、更に言うならば、35歳以上の女性の場合妊娠を試みてから半年間(アメリカでの推奨期間です)が経過した場合は、不妊検査を行っている産科・婦人科・泌尿器科クリニックへ足を運んでください。

特に、月経が不規則な女性や、大人になってからおたふく風邪にかかった経験のある男性は、上記の期間にとらわれず早めに病院へ行くことをお勧めします。

検査を行うタイミング

男性はいつでも構いません。但し、精子の状態をできるだけ正しく見るために、体調の悪い日や睡眠不足の続く時期などは避けましょう。

女性はできるだけ月経期間中に診察を受けられるように予約します。

不妊検査を行う病院の選び方

不妊検査はできるだけ早く行った方が良いので、初診で数か月待ちの有名病院にこだわる必要はありません。必要な検査を行っている病院であればどこでも結構です。Coelでは主要なクリニックの情報を掲載していますので、お住まいの地域の都道府県や市区町村、あるいは自宅や会社などの最寄り駅から病院を検索しても良いでしょう。

セカンド・オピニオンをご希望の場合、また、どうしても有名病院で診てもらいたいという場合には、最初から複数の病院に予約を入れておくことをお勧めします。病院主催のセミナーに参加することで優先予約枠が提供される場合もあります。主要な病院の不妊治療セミナーの情報はCoelで定期的にお知らせします。

不妊検査の内容は、 4. クリニックにて検査を受ける。 に記載しました。これらの検査を行っているクリニックを選びましょう。

男性・女性共に検査へ行きましょう。

不妊の原因の48%は男性に起因します(出典:WHO)。その内訳は、男性のみに原因のある場合が24%、男性・女性ともに原因のある場合が24%です。時間を無駄にしないために、そして、不妊治療を二人で乗り越えていくために、女性のパートナーと同じタイミングで検査へ行きましょう。

一方で、検査を行うクリニックは必ずしもパートナーと同じ場所でなくても構いません。クリニックによっては、男性または女性のいずれかしか検査・治療を行えない場合があります。まずは、それぞれにとって行きやすい病院へ足を運んでみましょう。

男性不妊の検査ができる病院は、

  1. 男性不妊専門クリニック
  2. 一部の泌尿器科
  3. 一部の不妊治療クリニック
  4. 一部の産婦人科(特にカップル向けブライダルチェックや不妊検査を行っているところ)

の4タイプがあります。3,4の場合は女性のパートナーと一緒に検査することができますが、通常は待合室で女性に囲まれることになりますので、抵抗のある場合は1,2に該当する男性向けクリニックへ行くことをお勧めします。

女性は基礎体温を測り始める。男性はクリニックの指示に従い、検査前に禁欲期間をもうける。

女性は毎朝基礎体温を測り、その変遷をグラフ(基礎体温表)にして紙や携帯電話のアプリ等に記録しておきましょう。クリニックによっては初診時に基礎体温表の提出が求められる場合があります。基礎体温は、自分の排卵の状況を知るための一助となります。

男性は自分で準備できることは特にありませんが、精液検査の前に禁欲期間をもうける必要があります。病院毎に決まりがあるため、予約時に確認しておきましょう(一般的には、2-3日の禁欲期間を持つことが推奨されています)。

基礎体温

基礎体温とは、起床してすぐ、起き上がる前に舌の下で計測する体温のことです。必ずしも毎日同じ時間に測る必要はなく、不規則な生活の場合には一日で一番長い睡眠から目が覚めた時の体温を測ります。

月経初日から次の月経が始まる前日までの1周期(月経周期)の基礎体温の推移をグラフ化すると、通常は二相(低温期と高温期)に分かれます。低温期の最低値と高温期の最高値の温度差は、0.3度以上あることが多くなっています。但し、重要なのはこの絶対値ではなく、二相性であることです

月経期間中の体温は低温期に位置しています。低温期の日数は個人差があります。排卵が起こり、これによって表出された黄体ホルモンの作用によって基礎体温が上昇し、高温期に入ります。高温期の日数は個人差がありますが、11~16日間程度続きます(高温期が10日以内の場合には黄体機能不全を疑います)。排卵後に受精・着床しなければ再び基礎体温は下がり、低温期に戻り、月経が起こります。受精・着床が起こった場合には高温期がさらに続き、月経は起こりません。

基礎体温表がきれいな二相性だからといって必ずしも排卵が起きているとは限りません。基礎体温は、部屋の温度や環境などによっても多少変わるため、正確な排卵状況は尿中の黄体ホルモン(LH)測定と経腟超音波によって確認する必要があります

<基礎体温の例>

基礎体温の推移例

生活習慣を改善する。

子供が欲しいと真剣に思っているのであれば、あなたの生活習慣を見直してみましょう。以下は、男性・女性ともに妊娠への悪影響があると科学的に認められている状態・行為であるため、避けるようにしましょう。

  • 喫煙
  • 過度の飲酒
  • 太りすぎ・痩せすぎ(BMIの正常値18.5~24.9が理想的です。)
  • 急激な体重の増加や減少

また、男性は精巣(睾丸)を温めると精子の状態が悪くなるため、長風呂やサウナを控えてください。

規則正しい生活、健康に配慮した食事と定期的な運動により、健康な体をつくりながら妊娠の準備を始めていきましょう。妊娠率の向上に役立つ妊活レシピも紹介しています。

クリニックにて検査を受ける。

必ず行うべき検査

■女性

  • 抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査
  • クラミジア検査
  • 経腟超音波検査
  • 子宮卵管造影検査

■男性

  • 精液検査

抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査(血液検査)

卵巣の予備能の指標のひとつで、卵巣の中に卵子の在庫がどの程度残っているかを調べる検査です。卵子の質や妊娠率との相関はありません。必ずしも今の卵巣の状態が分かるとは限らず、卵巣が正常に機能し、排卵が規則的に起こっているにも関わらずAMHが低い場合もあるため、あくまでも参考指標の1つとして使用します。

月経周期に関わらずいつ検査を受けても構いません。

クラミジア検査(血液検査)

クラミジアは性感染症の中で最も感染頻度が高く、男女共に自覚症状がほとんどないのが特徴です。クラミジアに感染すると、卵管の通過性が不良になったり(卵管狭窄、閉塞など)、腹部内に癒着を起こすことがあり、不妊症の原因となる可能性があります。

過去の感染があるかどうかも調べることが出来るクラミジア抗体(IgGとIgA)の検査と、子宮の出入り口に現時点でクラミジアがいるかどうか(クラミジア頚管炎)を調べることが出来るクラミジア抗原検査(子宮の出入り口を拭うPCR法)があります。尚、クラミジアは薬を1回摂取するだけで通常は完治できるとされます。

月経周期に関わらずいつ検査を受けても構いません。

経腟超音波検査(超音波検査)

卵巣や子宮の状態、胞状卵胞の数や大きさなどを調べる検査です。月経期間中に検査を受けることが望ましいです。

子宮卵管造影検査(レントゲン検査)

子宮の形や大きさ、卵管の通過性を見る検査です。子宮の出入り口から造影剤を注入してレントゲン撮影を行い、造影剤が腹部内にこぼれることを確認します。但し、こぼれても、卵管留水腫があったり、抵抗が強く通過性が不良のこともあります。

現在妊娠していないことを確認の上検査を行うため、

① 月経終了後の低温期(月経終了後~排卵日までの数日間)、

② 避妊した月経周期の高温期(排卵後~次の月経の始まる数日前まで)

のいずれかの期間中である必要があります。

この検査は、クラミジア検査の結果が陰性の場合のみ行われます。陽性の場合、卵管造影を行うことでクラミジアがお腹に拡散される恐れがあるためです。よって、クリニックによっては他の検査と同時に行えない場合もあるため、予約時に確認が必要です。

精液検査

精子の状態(数や運動率、形態など)を調べる検査です。いつ検査を受けても構いません。

各種検査のタイミング

検査は通常すぐに終わり、簡易的な検査結果はその日のうちに知ることができます。必要に応じて、同じクリニックで追加の検査や精密検査を受けてください。

追加的に行う検査(あなたに必要な検査内容を医師にご確認ください。)

■女性

  • ホルモン検査
  • 頚管粘液検査
  • 抗精子抗体検査
  • 性交後検査(フーナーテスト)
  • 子宮内膜症の腫瘍マーカー検査(CA125、CA19-9)
  • 腹腔鏡検査
  • 子宮鏡検査
  • 染色体検査
  • 不育症検査

■男性

  • 視診、触診、超音波検査、ホルモン検査、染色体検査、遺伝子検査

ホルモン検査(血液検査)

月経周期上の適切なタイミングにて、採血にて主に以下のホルモン値を測定します。

卵胞刺激ホルモン(FSH):
卵巣で卵胞を発育させるホルモン。月経2~5日目に測定します。
黄体形成ホルモン(LH):
卵巣で排卵や黄体の形成を促すホルモン。基礎値を知る目的では月経2~5日目に測定しますが、採卵の時期の決定や排卵直前のLHサージを知る目的ではその都度検査を行います。
LHサージ:
LHが排卵直前に急速に上昇することです。通常、卵胞内で卵子が成熟し、卵子を取り巻く細胞(顆粒膜細胞)から下記卵胞ホルモンが多量に放出され、その濃度が高くなることによりLHが分泌されます。市販の排卵検査薬では、尿中のLH濃度を測定し、LHサージの有無を簡易的に判断します。
卵胞ホルモン(エストロゲン・E2):
子宮内膜を増殖させるホルモン。月経2~5日目と、採卵の時期を決定するタイミングで測定します。
黄体ホルモン(プロゲステロン・P4):

内膜を分泌期にし、妊娠の成立、維持に重要なホルモン。基礎体温を上げる作用もあります。測定するタイミングはクリニックによって異なる可能性があります。

<セントマザー産婦人科医院の場合>

自然周期の融解胚移植時に、経腟超音波検査と尿中LH検査の結果だけでは排卵日の推定が難しい際に、排卵日の確認をするために測定します。また胚移植時、つまり排卵後4-5日目に測定しています。

プロラクチン(PRL):
FSH・LHの働きを調整するホルモン。月経2~5日目に測定します。

頸管粘液検査

排卵時期の頸管粘液を採取して、量・透明度・粘度を測定します。

頸管粘液は精子を腟内へ運ぶ役割を果たします。エストロゲンの働きで、排卵数日前から顕著に増加し、低温期の最終日頃に粘液が糸を引くような状態となります。

抗精子抗体検査

体内で精子に対する抗体(抗精子抗体)ができてしまうことがあります。抗精子抗体には多様性が存在しますが、抗体が示す生物活性により、精子を不動化する抗体、精子を凝集する抗体、また受精を阻害する抗体などに分類されます。

男性に抗精子抗体が産生された場合は、精子を造る機能に影響を与えることは少なく、抗体が精子表面に付着することで卵管の通過障害や受精障害を起こす可能性が指摘されています。

女性に抗精子抗体が産生された場合は、同様に卵管の通過障害や受精障害、着床障害、胚の発育障害などを起こす可能性が指摘されています。

抗精子抗体は未解決の問題も多く、今後の研究が待たれる状態です。

性交後テスト(フーナーテスト)

性交して12時間後の子宮頚管粘液内にある精子の状態を調べる検査です。抗精子抗体の有無を調べることができます。

但し、あまり信頼性は高くないとの報告があります。

子宮内膜症の腫瘍マーカー検査(CA125、CA19-9)

卵巣がんの腫瘍マーカーのひとつであるCA125やCA19-9を測定する血液検査です。不妊や骨盤内癒着を起こす原因に子宮内膜症がありますが、これがある場合にはCA125やCA19-9値が高くなることが多く、補助診断として利用します。

腹腔鏡検査・手術(内視鏡)

腹部から腹腔鏡を挿入し、ガス(二酸化炭素)を腹腔(腹部の内臓が入っている部分)内に充満させ、内部を観察する検査です。子宮筋腫や卵巣囊腫をはじめ、骨盤内、卵管周囲癒着の様子を観察でき、そのまま治療(摘除および癒着剥離)することも可能です。開腹手術と比べて侵襲が少なく術後の腹腔内の癒着はほとんど見られませんが、高度な技術が必要となります。

月経期間中は腹腔内に月経血が貯留しているため、この検査・手術を行うことは望ましくありません。また、妊娠中は検査・手術ができないため、検査・手術を行う周期やその前周期は避妊の必要があります。

全身麻酔のため術中は痛みはありません。手術内容によっては入院が必要となります。

子宮鏡検査(内視鏡)

子宮の出入り口から直径3mmほどの内視鏡を挿入し、子宮腔(子宮上部の空洞)内を観察し着床障害を起こす原因を精査する検査です。子宮粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮内膜炎の有無などを観察し、場合によってはそのまま除去することが可能です。

排卵後の分泌期(=高温期)に検査を行うことが望ましいです。月経期間中は月経血のため観察が困難となるため望ましくありません。また、妊娠中は検査ができません。

<セントマザー産婦人科医院の場合>

全身麻酔にて検査を行い、15分程度で終わります。入院の必要はなく、術後3~4時間休んだのちに帰宅可能です。

(外来で検査のみの内視鏡をしているクリニックもあります。その際は全身麻酔は行いません。)

染色体検査

今後の記事にて説明します。

不育症検査

今後の記事にて説明します。

(男性)視診、触診、超音波検査、ホルモン検査、染色体検査、遺伝子検査

今後の記事にて説明します。

 

尚、不妊検査の費用を自治体が助成してくれるケースがあります。

例えば、東京都にお住いの夫婦(事実婚を含む)で、検査開始日時点の妻の年齢が34歳以下の場合、男女ともに不妊検査を受けることを条件に不妊検査・タイミング法・人工授精の費用が5万円を上限に助成されます。

詳細は東京都福祉保健局のページでご確認ください。

必要に応じて他のクリニックにてセカンド・オピニオンを取得する。

検査の結果、大きな問題が見つからなければ、そのクリニックにて今後の進め方をご相談下さい。深刻な問題が見つかった場合、また、問題が見つからなくても不安がある場合や、医師の説明に納得できない場合には、セカンド・オピニオンを取得するため他のクリニックにて再度検査を行いましょう。

治療を行う病院を決定する。

検査結果を基に、今後の進め方を医師と話し合いましょう。検査結果に対して一般的にどのような治療の選択肢があるかということについては、今後Coelで説明していきます。

特殊な検査結果(例:不育症、男性不妊)の場合には、限られた病院でしか検査・治療が行われていませんので、専門医を探しましょう。また、深刻な診断結果の場合には、精神的負担の大きい治療となる可能性も加味し、医師との相性も考慮しながらクリニックを選びましょう(Coelの記事口コミを活用してください!)。

病院の選び方も参考にしてください。

<参考文献>

  • 山王病院 堤治監修 藤原敏博編集(2013)『山王病院 不妊診療メソッド』金原出版株式会社.

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