不妊治療を始めるとき

セントマザー産婦人科医院 田中温院長へのインタビュー

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セントマザー産婦人科医院の田中院長

不妊治療を始めるとき

病院はどう選ぶ?良い病院の基準は?

セントマザー産婦人科医院 
田中温院長に聞きました!

取材・文:Coel運営チーム

掲載日:2017年2月1日

「不妊」という言葉はここ数年間でタブーから身近なものとなり、「妊活」というカジュアルな単語も生まれました。不妊治療をしていることを公言する芸能人も増えてきています。しかしながら、自分に必要な治療を見極めることは難しく、病院のホームページを見ても専門用語が並ぶばかりで、他の病院との違いがなかなか分かりません。

今回は、重度不妊患者さんにとっての「最後の砦」の異名を誇るセントマザー産婦人科医院の田中院長より、病院選びのポイントをお伺いしました。

——田中先生はどのような観点から病院を選ぶべきだとお考えですか?

病院を選ぶ時には、ほとんどの方がホームページを開くと思いますが、その際に実績の欄の中に「出産率または出生率」のデータが書いてあるところは信用できると思います。「妊娠率」は分母を変えることによって変わってきます。途中で流産したなどの場合には最後の目的である出産には直接影響しない面もあるので注意が必要です。

基本的には不妊治療は、個人の排卵日に合わせて行わなければなりません。現実では難しいとは思いますが、当院では1年中外来は無休です。また、働いている女性のために夜の診療時間があるところは魅力的だと思います。

日本のARTの治療は個人のART施設で行われており、ほとんどがビル内での診療です。ビル内での診療は手術室が無く、入院患者を収容できないために、何回かの人工授精で成功しない場合、次のステップは体外受精です。私の考えは、あくまでも自然妊娠がモットーですので、20代や30代前半の方で、たとえ卵管が閉塞していても、閉塞を開通するようなカテーテル法などを試すこと、子宮卵管造影および精液検査で全く異常が無く、正常な夫婦生活が出来る方で1年2年で子どもが出来ない方には、必ず腹腔鏡検査をすること。このようなことが出来る施設を選ぶべきでしょう。例えビル内での診療が出来ない場合には然るべき所を紹介して下さるような連携病院を持っている所であれば問題無いと思われます。

——治療成績の話が出ましたが、どの程度参考にすべきなのでしょうか?

ホームページは非常に重要な情報を得る方法です。一般的に自分の施設を宣伝する傾向は否めませんが、意図的に成績良く見せようとするような所は避けた方が良いでしょう。大事なことは正確な実績です。各年齢における妊娠率・流産率・生産率が全て年齢別に、さらに胚の種類によっての妊娠率等をデータとして教えて頂けるところであれば問題無いと思われます。

——不妊かどうかも分からない段階から、体外受精までやっている病院に通う必要はありますか?高い治療や不必要な治療を勧められるのではないかと不安です。

まずは子宮卵管造影検査、精液検査、超音波による子宮・卵巣の状態を診るだけであれば、不妊治療を行っている施設ならばどこの病院でも構いません。特に、公立病院、大学病院であれば問題ありません。開業医を選ぶのであれば、医師に十分な知識のあるクリニックを選んだほうが良いと思います。知識があるかどうかは、例えば直接メールをして(病院のホームページにメールアドレスが記載されていることが増えています)その反応を見て判断できます。ちゃんと相談に乗ってくれる先生ならば非常によいと思いますよ。

——癌や心臓疾患などの治療と同様に、不妊治療においてもセカンド・オピニオンは有効なのでしょうか?2つ以上のクリニックで診察を受けるべきですか?

セカンド・オピニオンは重要だと思います。是非、活用するべきだと思います。

——病院ごとに得意分野は大きく異なるのでしょうか。年齢や症状によって通うべき病院は変わってきますか?例えば40歳を超えていたら、同じような患者さんの治療実績の豊富な病院へ行くべきでしょうか?

一般的に40歳を超えた場合には妊娠率は下がりますので、それほど40歳以上が得意というような病院は無いと思います。年齢に関係なく言えることはワンパターンの治療を行う所では無く、患者様の病歴、背景というものをしっかりと把握し、それに対応できるオーダーメイドの治療が出来る施設であることが重要です。

——セントマザーの得意分野は何でしょうか?

当院の得意分野は男性不妊症です。特に円形精子細胞を用いた治療(ROSI)で継続して出産例を報告しているのは世界では当院のみと評価されております。昨年の11月にPNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)に論文が掲載されてからは、イスラム教の国からの技術学習のための参加が増えております。イスラム教の国では精子提供が認められていないからです。

もう一つは老化卵子の救済です。これは20年近く研究を続けております。細胞質置換という方法です。昨年2月に英国の議会でミトコンドリア病の治療にのみ認められましたが、技術的には老化卵子の救済と全く同じです。日本および、世界でもまだ正式には認められておりませんが、いずれ認められる日が来ると信じて研究を続けております。

それと、卵管閉塞された方への卵管カテーテル法です。この方法で卵管を疎通させる方法です。あとは卵管内移植(GIFT法・ZIFT法)という方法で、現在ではほとんど世界で行われておりませんが、我々は高齢の方や卵の数が少ない方には価値のある治療法だと考えております。

当院には、こうした技術を求める患者様が日本中、世界中から集まります。

——有名病院は初診が数か月待ちで、診察時の待ち時間も長いと聞きます。一方で、家や会社から近く通いやすい場所にクリニックがあります。有名ではないようですが、行ってみたところ先生やスタッフの感じがよく好印象でした。このままこちらに通っても大丈夫でしょうか?

体外受精に関してはほとんどがマニュアル化されておりますので、よほど特殊なケースではない限り、アクセスの良いところで、評判が良ければ問題無いと思われます。

——不妊治療の費用について、自治体からの補助金等の援助を受けてもなお、金額が大きすぎて不安です。

費用は施設によって異なります。公的基金の助成金は調べれば分かります。男性の不妊症も給付が可能となっております。さらに地方自治体によって15万円のところ初回だけ15万円を追加する地方自治体(北九州市など)やさらに多額の給付金を出す県(大分県など)などもありますのでよく調べられて下さい。

——治療・通院を一時お休みしたら妊娠した、という話をよく聞きますが、これは本当なのでしょうか?本当だとしたら、どのような理由が考えられますか?

治療の間に妊娠される方は珍しくありません。一つは生殖補助医療で行った卵巣刺激の効果が治療していない時にも持続すると考えられ、自然妊娠に良い影響を与えることもあると思います。また、精神的にストレスのない時期に妊娠しやすいということも考えられます。

——既に長く通っている病院がありますが、なかなか妊娠しないという場合、転院の判断はどのように行えばよいでしょうか?

転院の時期については難しいと思いますが、まずなぜ妊娠しないかということに対して、十分に納得できる説明が行えているかどうか。その原因が分かった場合、その対応が毎回行えているかどうか。すなわち、患者様一人に対して毎回の結果を参考にしながら次につなげる治療を行えているかどうか。さらに新しい技術の導入・研究を取り入れているかどうか等でご本人が判断されてはいかがでしょうか。

——通院と並行して自宅で何かできることはありますか?漢方薬やサプリメントの効果はあるのでしょうか?

漢方薬やサプリメントは原則的には効果は無いと思います。最も大事なことは規則正しい食生活と適度な運動。決して妊娠出来ないことは女性として何かが欠けている、何かが劣っているということでは無いということを認識すること。子どもがいない人生も素晴らしいことを認識すること。自分の趣味ややりたいことをこの時間に取り入れることも一つのメリットとなると考えます。

——仕事が忙しい方の場合、不妊治療との両立が困難かもしれません。一方で、仕事をすることで気を紛らわせることができたり、高額な治療費の一部を賄えたりというメリットもあります。患者さんにはどのようなアドバイスをされていますか?

お仕事をしながら、不妊症治療(特に体外受精(IVF))を行う事は大変かもしれませんが、現在では、自己注射が可能となっておりますので、注射のための通院の負担がなくなって、かなり楽になりました。診察も2~3回と少なくなりますから、お仕事と両立することは十分可能だと思いますよ。

さらに負担を少なくする方法として、採卵後にすべての胚を凍結すれば、採卵日に1日お仕事をお休みするだけで大丈夫です。凍結した胚の移植は、採卵と別の周期にて行ないます。移植日はホルモン剤を使えば、2~3日は自由にコントロールできますし、時間外で移植をしてもらえる施設ならば、胚移植時には麻酔もしませんので、お仕事が終わってからでも可能だと思います。

原則的には仕事を辞めることはお勧めしておりません。ただし、仕事がストレスとなっていて、毎朝目が覚めて会社に行くことが苦痛であるならば辞めることも考えて下さい。ただ、肉体的に辛いだけであるならば、それは患者様がその能力が求められているとも考えられますので、是非続けられる方が経済的にも助かると思います。基本的にはお仕事を続けられて、治療することが長続きする方法だと思います。お仕事を辞めて結果が出ない場合にはさらにストレスが溜ってしまうこともよくあります。

——夫がなかなか病院に行きたがらない、という話をよく聞きますが、何かアドバイスはありますか?

現在は昔に比べるとご主人の協力は著しく増加しております。昔は当院でも外来には男性が一人もいない状態でしたが、現在では約半分は男性です。それだけ男性の治療への関心度は高くなっております。不妊であることを良く理解していただくこと、ホームページ等を積極的に見て頂くこと、治療をすれば妊娠率が非常に高くなること、男性がこの不妊に関わっている可能性が半分あることなどを情報として紙媒体ではなくてホームページ等で視覚に訴えると分かりやすいと思います。またご質問があればメール等で直接質問し、実際にレスポンスがあることを体験していただければご主人も関心を示してくるのではないでしょうか。

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