男性不妊と精子の事、
聞いてみました。

恵比寿つじクリニック 辻祐治院長へのインタビュー

恵比寿つじクリニック 辻院長

男性不妊と精子の事、聞いてみました。

男性不妊専門 恵比寿つじクリニック 
辻祐治院長へのインタビュー

取材・文:Coel運営チーム

掲載日:2017年2月28日

私達Coelの願いの1つは、男性が自分の身体を正しく知り、妊活/不妊治療にもっと積極的に参加することです。それによって精神的に救われる女性は数え切れないほど、そしてきっと新たに生まれる赤ちゃんも増えると信じています。

少しでも多くの男性が読んでくれることを願い、男性不妊と精子のことを取材してきました。「独身ですが、精液検査に行ってみました。」でAさんが精液検査を行った恵比寿つじクリニックの辻院長に教えて頂いた正しい情報、しっかり頭に入れてくださいね。

■男性不妊と精子の真実

——「男性不妊」の存在は大分知られるようになってきたと感じるのですが、先生の実感としてはいかがでしょうか?ここ数年で患者さんの数や意識に変化は見られますか?

患者さんの数は大きくは変わっていないと思います。意識の変化としては、以前であれば奥さんに言われて来る方が多かったのですが、最近は若い世代を中心に自ら精液検査に来られる患者さんが増えてきています。プロポーズする前に精子の状態を確認したい、という人もいますよ。

——それは良い傾向ですね。不妊治療を経験した私としては、結婚前、せめて結婚時に精液検査を受けることが一般的になればよいなと思っています。貴院では男性ブライダルチェック(精液検査+肝炎、梅毒、HIVの血液検査、尿のクラミジア検査)も用意されていますね。

これから結婚する方、また子づくり、妊活を始めるにあたって調べる方が増えてきていますね。

——貴院にいらっしゃる方は、初めて検査を行う方が多いですか?それとも、婦人科等で夫婦で検査を受けて、問題があっていらっしゃる方が多いのでしょうか?診察には奥様が付き添うこともありますか?

以前は精子が悪いと言われて体外受精を何度もやったけど妊娠しないのでというケースがほとんどでしたが、最近は初めて検査を行う方も増えてきました。奥様に言われたのではなく、自主的にというかたも多いです。以前は精子が悪いと言われて体外受精を何度もやったけど妊娠しないのでというケースがほとんどでしたが、最近は初めて検査を行う方も増えてきました。奥様に言われたのではなく、自主的にというかたも多いです。

——不妊の原因の50%近くは男性にあるとのことですが、具体的にはどのような状況を男性不妊と呼ぶのでしょうか?

不妊とは、避妊をせずに1年以上性交渉を行っていても子供ができない状況のことで、原因が男性にある場合が男性不妊です。

WHOから精液検査の基準値が示されていますが、妊娠したかたたちのデータを解析したもので、あくまでもこれ以上ないと妊娠の期待が非常に低いという最低限の数値です。精液検査の結果が非常に良くても妊娠できないかたもいらっしゃいますし、逆にびっくりするほど結果が悪くても自然妊娠したというケースもありますので、精液検査の結果に関わらず不妊である可能性もあります。

——精子に問題のある人の割合はどの程度ですか?無精子症は全体の1%というデータがありますが。

特に何もなくご妊娠になれば精液検査を受けることはないわけで、精子に問題のある人がどのくらいの割合でおられるのかははっきりしていません。すべての男性の中で何パーセントが問題を抱えているかを明らかにするほどのデータはまだないのです。ただし、無精子症については一般男性の100人にひとり、男性不妊患者さんの15%といわれています。意外にいらっしゃいますよね。

——精子に問題がある場合、何らかの自覚症状はあるのでしょうか?

自覚症状は通常ありません。精液量が大幅に減ったりしたらご自分でも気づくと思いますが、精液の量を普段そこまで意識することはないでしょう。精子のことは精液の中を顕微鏡で覗かないと分からないですからね。

——精子に問題がある場合、原因として考えられることは何ですか?

色々調べてみてもはっきりとした原因が分からないことも多いですが、精索動脈瘤があれば、それを手術して精子の所見が良くなる期待があります。

——熱を出すと精子が駄目になると聞いたことがあるのですが?

確かに精子を作る細胞は熱に弱いんです。だから精巣(睾丸)は内臓で唯一からだの外に飛び出して熱を下げるようになっているんですよ。たとえばインフルエンザにかかって高熱が出たというような場合は精子を作る能力が一時的に低下する可能性がありますが、3ヵ月もすれば回復します。だから子供のころの発熱については気にしなくていいです。昔から熱が出て精子がいなくなると言い伝えられているのはおたふく風邪のことですね。

——おたふく風邪!精子と関係あるのですか?

大人になってからおたふく風邪にかかり、精巣(睾丸)が腫れると、精子を作る 細胞が永久的に駄目になってしまう可能性があるのです。だから、もしおたふく風邪にかかって精巣(睾丸)が腫れたら、すぐに病院で精子を凍結してもらってください。おたふく風邪が治って、3か月ほど経ってから精液検査を受けて、検査結果が問題なければ凍結した精子は廃棄してしまえばよいだけです。

——加齢は精子の質の低下に繋がるのでしょうか?

もちろん精巣(睾丸)もからだの一部ですから、年齢とともに働きは低下します。女性は30歳くらいから子供を作る能力が下がり始め、閉経で区切りとなりますが、男性は緩やかに低下していきます。これが生物としての男性と女性の大きな違いの一つですね。中年になると、精子の数が減る前に精子の動きが悪くなってきます。

——貴院HPに不妊症の男性は精巣腫瘍にかかりやすいと記載されていますが、どういうことでしょうか?

精巣腫瘍は欧米では男性不妊症の患者さんの1%にみられるとされています。精液所見が悪いと、精巣腫瘍だけでなく他の悪性腫瘍も合併する頻度が高いことが知られており、遺伝子異常が影響しているとする研究結果も報告されています。

—— 精子の状態を良くするために日常生活で気を付けるべきことがあれば教えてください。

精液はどんどん出した方が良いです。どんどん出せば新鮮な精子が出てきますし、体も精子を作らなきゃと体内環境を整えます。前も言いましたが、精巣(睾丸)を温めないこと。サウナはお子さんを授かるまでは入らないほうが良いです。長湯も控えてください。ドラッグはもちろんタバコも×で、お酒は適量に。さらに、痩せすぎも良くありませんが、肥満は明らかに子作りのリスクです。

—— 漢方薬やサプリメントは精子の状態を改善するのに役立つのでしょうか?

抗酸化作用があるビタミンCやE、リコピン、βカロチン、タウリン、カルチニン、コエンザイムQ10などは精液所見を改善させたという報告があります。亜鉛、ビタミンB12や漢方も精子の動きを良くしたり、数を増やす効果が示されたデータがありますね。ただ、いずれにしても3か月ほど飲んでみたら精液検査をして効果を確認すべきです。効果がないなら服用しなくていいでしょう。お金もかかりますし。

—— EDと不妊には相関関係はありますか?

EDによって性交渉ができなければ、当然ながら妊娠できませんよね。排卵日EDという、奥さんから「この日は排卵日だから早く帰ってきてね」などとプレッシャーをかけられて、ダメになるパターンもあります。日本人男性は、タイミング法を始めると遅かれ早かれほぼ全員が排卵日EDになるようです。

—— 貴院での精液検査の際、2-3日間の禁欲での検査を推奨しているのはなぜですか?

禁欲期間が長いとそれだけ質の悪い古い精子が出てくることになり、検査結果が悪くなる可能性があります。WHOでは2-7日の禁欲での精液検査を推奨していますが、欧米をはじめ最近では禁欲2-3日で検査することが勧められています。

—— 禁欲日数と妊娠しやすさには関係はありますか?

妊娠には精子の数より動きが大事なことが分かっています。禁欲期間が短いほど新鮮で元気の良い精子が出てきますので妊娠しやすいはずです。排卵チェッカーでゴーサインが出たら、そこから3日連続で性交渉を、というのが大切です。

—— 男性・女性共に検査で何ら問題がないのに妊娠しない場合があります。男性不妊の観点ではどのような原因が考えられますか?

精液検査は妊孕性(妊娠させる能力)を100%反映するものではありません。従来からの精液検査の項目に加えて色々と精子の機能を評価する試みがなされていますが、それでもまだ把握できない要因が存在するのだと考えられます。

——男性不妊への関心の高まりのおかげか、昨年リクルートさんからSeem(簡易精液検査キット)が発売されました。こうした商品は、どのように活用していくと良いでしょうか?

TENGAさんからもTENGA MEN’S LOUPEという同様の精子観察キットが出ました。これらはあくまで簡易的なもので、スクリーニングの目的で若い独身の人やこれから妊活を始める人が使うべきキットです。もし悪い結果が出たら病院で即検査してください。良い結果が出ても、半年間子作りをしてみて妊娠出来なかったら病院へ。既に妊活をしていて結果が出ないという人は、キットを試すよりも病院へ来てください。

恵比寿つじクリニックの概要

恵比寿つじクリニックの待合室

—— 貴院での主な診察内容につき教えてください。

男性不妊、男性更年期障害、ED(勃起不全)の診療を行っていますが、患者さんのほとんどは男性不妊の検査・治療のためにいらっしゃっています。日帰りで精索静脈瘤の手術、無精子症の患者さんの精巣(睾丸)から精子をとってくる手術(TESE)をやっているのが当院の特徴ですね。

—— 貴院は土日も営業しているので働く男性にはありがたいですが、現在の予約の取れやすさを教えてください。やはり土日は混雑していますか?

以前はなかなか受診できなくて大変に患者さんに迷惑をかけたのですが、副院長と頑張って、最近は土日でもスムーズに予約がとれるようになっています。私も休診日(木・金)以外はほぼ毎日おります。

※ちなみに、辻先生は福岡・天神の天神つじクリニックでも働かれています。

——男性不妊を診察・治療する病院は決して多くありませんが、全ての泌尿器科医の方が診察できるわけではないのでしょうか?

内科にも神経内科や糖尿病内科があるように、泌尿器科医がすべて男性不妊に詳しいというわけではありません。また、例えば精液検査や超音波検査などは、一般の泌尿器科ではやっていない場合もありますので、そういう検査体制が整備されていないところでは診療されていないということもあるでしょう。

——最後に、多少なりとも不妊や精子の状態に関心を持って当ページを閲覧している男性陣へメッセージをお願いします。

日本だけでなく諸外国でも子作りをスタートする年齢が昔に比べて高くなっていますので、不妊治療が時間との戦いの様相を呈してきています。子作り開始のときからハンデがあることを自覚して、早めに精液検査を受けてください。

あと、すでに奥様が体外受精をしておられるご主人に対してですが、自分(精子)に問題があるのに、奥様を痛い目(体外受精)にあわせて平気ですか。精子が悪いなら、その治療をして、奥様の負担を少しでも減らすのが男でしょう。

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