体外受精を成功させるために。

両角レディースクリニック
両角和人院長が考える妊娠の秘訣。

両角和人院長

体外受精を成功させるために。

両角レディースクリニック 両角和人院長が考える妊娠の秘訣

取材・文:Coel運営チーム

掲載日:2018年8月17日

不妊治療の成功のためには、患者さんの自助努力はもちろんのこと、ハードとソフトの両面で相性の良い病院を選ぶことが大切です。症例の多さや妊娠率の高さはもちろんのこと、物理的に通いやすい場所・診療時間かどうか、二人目不妊で子どもの預け先がない場合には子連れで通えるかどうか、そして医師がどれだけ真摯に治療にあたってくれるかといったことがその選定基準となるでしょう。

両角レディースクリニックは、院長の両角和人先生がこれまで出会った様々な患者さんの声を基に2012年に開業したクリニックです。すべての患者さんに対して配慮を行い、最大限納得できる治療を受けて頂くべく、技術力とサービスの向上に努めていらっしゃいます。毎月開催する治療説明会ブログ等を通じて治療に役立つ情報の発信を続ける両角先生より、今回は主に体外受精の成功のために大切なことをお伺いしました。

——両角先生は定期的に開催する治療説明会にて、体外受精において大切な事として以下の7項目におけるポイントを説明されています。

体外受精において大切な事

  • ①採精
  • ②卵巣の評価
  • ③誘発方法
  • ④採卵
  • ⑤胚培養
  • ⑥胚移植
  • ⑦着床率向上の工夫

①採精

——採精については、他院の説明会等で触れられる機会が限られており、さほど重要ではないものと考えていました。両角先生は院内採精を推奨しており、男性が不快に感じないよう採精室の位置まで配慮しているのですね(人通りのないエリアに採精室を設置されています)。

精子は、外気に触れることにより染色体レベルで質が低下していくことがマウスでの研究で証明されています。当院に通う患者さんの状況を比べても、精子の状態はやはり院内で採精した時の方が自宅で採精したものをご持参頂いた時よりも良いです。温度や運搬方法に気を付けていても、運んでいる間に精子はどんどん死んでいってしまうのです。

説明会では、一番最初にこの話をしています。女性任せのスタンスを変えて不妊治療にしっかり協力して頂きたく、男性に対するアピールも込めてお話させて頂いています。そのおかげかは分かりませんが、当院では9割以上の男性が院内採精を行っています。過去に他の病院に通っていた時にはずっと家で採精していた、という方も、病院まで来てくれています。実際に、そういう方々が妊娠しています。

また、採精時以外にも女性に付き添って通院する男性は多く、土曜などは特に多くの男性が待合室に来ています。

——貴院の説明会では、精子の質を上げていく方法につきお話がありました。精子は3か月前から作られるということ、そして、健康的な生活、適度な運動、ストレスのない生活、適度な飲酒、睡眠、禁煙の重要性を訴えておられますね。説明会には男性も多く参加していますが、皆さん実際に生活習慣を改善して治療に臨むのでしょうか?

精子の質はたった3か月でも変わります。生活習慣の改善については個人差がありますが、例えば喫煙していた方の9割程度は説明会後に禁煙を始めます。奥様は、それだけでも感謝してくれます。たとえ子供ができなくても、夫が健康になってくれて嬉しい、と言って喜んでくれます。奥様と合わせてお酒を控えたり、ダイエットを始めたという方もいます。責任は女性だけではなく一緒に頑張るというスタンスが非常に大切だと思います。

②卵巣の評価

——卵巣の評価においては以下の項目に基づき、最適な排卵誘発方法をその都度決定していくというお話がありました。

卵巣の評価

  • ・年齢
  • ・生理周期
  • ・過去の治療結果
  • ・ホルモン検査(FSH、E2、LH、P4、PRL)
  • ・前胞状卵胞数(AF)

過去のデータをもとに色々な検査を行い個別化を図り誘発を行いますが、どんな排卵誘発方法が合うかというのは、一度やってみないと分からない部分があります。当院に通い始めて、合う方は初診から3か月で妊娠して卒業されていきますし、合わない方は何度採卵・移植してもなかなか妊娠しないこともあります。本人の意向も尊重しながら、上記の項目を見てその方に最適だと思われる誘発方法をその都度選択していきます。

——貴院では、血液検査によるホルモン値の測定とエコー検査を、採卵周期のDay2-3に1回、Day8-10に1回、その後2-3日ごとに行います。また、移植周期もDay2-3に1回、Day12頃に1回、少なくとも行っていますね。Day2-3の検査を行わない病院や、そもそも血液検査・エコーのいずれかを省く行う病院もありますが、両角先生はこうした検査を重要視されていますね。

ホルモン検査とエコー検査は医学的に極めて重要だと考えています。高齢になればなるほどホルモンが乱れてきますし、遺残卵胞がないかエコーで確認する必要があります。生理だと思っていた出血が実は生理ではなかった、というケースもあります。体外受精の際には、内膜が薄くなり、ホルモンの値も整っていることを確認してから移植すべきです。

——移植のキャンセルもそれなりに起こるのでしょうか?

ホルモン検査とエコー検査の結果次第では2〜3割近くキャンセルが起こります。しかし、事情を説明すれば患者さんも納得してくれます。貴重な受精卵ですから、ベストな状態の時に移植するのは当然のことです。

——こまめな検査により通院回数は増えてしまいますが、待ち時間を減らすための工夫はされていますか?

血液検査の結果は院内にて30分で出すことができます。それも待てないということであれば、例えば朝もしくは昼休みに採血に来て、結果を昼または夕方に聞きにいらっしゃる方もいます。エコーは夕方6時からでも可能です。

移植周期では、自宅でエルチェック(排卵検査薬)を使用して排卵直前に来てもらうようにしています。1回の通院で排卵日を特定できる方がほとんどです。

このほか、待ち時間には外出できるようにし、順番が近づいたら15分前にメールをお送りするようにしています。当院は銀座の中心地にありますので、待ち時間は院外で買い物や食事を楽しんで頂けます。

銀座の一等地に位置する、白を基調とした清潔感溢れるクリニック。

銀座の一等地に位置する、白を基調とした清潔感溢れるクリニック。

③誘発方法

——貴院では自然周期から高刺激まで、あらゆる排卵誘発方法に対応していますね。同じ患者さんに対して、2回目以降の排卵誘発方法を大きく変更することもあるのでしょうか?

変更はもちろんあります。1回目は、採れる方の場合には最大で15個程度の卵子を採ることを目安に誘発を行います。あまり採りすぎると卵子の質が低下して妊娠率が低下する事、またOHSS(卵巣過剰刺激症候群)に配慮し、採りすぎないことも重要です。1回目の結果を基に、2回目の誘発方法を決定していきます。

④採卵、⑤胚培養

——貴院には高齢の患者さんやこれまで複数の病院に通ったものの結果が出なかった患者さんが多く通われています。排卵誘発を行いやっと採卵にたどり着いても、全く採卵できなかった、もしくは、受精できなかったというケースはそれなりに多いのではないでしょうか?

当院では9割の患者さんが他院からの転院であり、当院で3,4箇所目というケースもあります。よって、なかなか結果が出ない、移植できないというケースもあります。そうした患者さんは、当院に来るまでの間にそもそも辛い思いをしてきています。相手にされなかったり、諦めろだとか、やるだけ無駄だとか言われて来ている方もいます。当院ではそういう方も受け入れて、共に努力していきます。

治療に際し、年齢制限はありません。但し、例えば50歳の方に対しては、妊娠した前例もないし、自分だったらやらないということは正直にお伝えします。それでもやりたいと患者さんが言えば、私たちも意思を尊重し決して手を抜かず最大限の治療を行います。実際には、47歳以上での妊娠例もあります。

残念ながら全ての方に結果を出す事は出来ませんが、結果が出なかった場合でも、治療を受けて良かったと、二人で頑張って良かったと、そう思って頂けるように、我々が出来る最大限の事を、全力で行う事が、我々のやるべきことであると信じています。

——男性が採精に向けて準備するのと同様に、採卵の成功のために女性側に準備できることは何かありますか?卵子の質を短期間に向上させることは可能なのでしょうか?

卵子の質は、基本的には年齢に依存します。あとは、当然ですが刺激方法を変えることで変わる部分もあります。

男性同様に、生活習慣の改善はお願いしています。例えば、睡眠時間の足りない人には、メラトニン(睡眠ホルモン)のサプリメントで眠りの質を良くしてもらいます。食生活の改善も重要で、玄米やグラノラなど全粒穀物を摂るようお勧めしています。子宮内膜が厚くなり、着床率を上げる効果があります。あとは、魚中心にする、加工食品を避ける、地中海式の食事を摂る、などですね。

胚移植の基準の1つに、BMIを設けています。BMIが高すぎると、妊娠はもちろん、分娩にも悪影響です。移植するためにダイエットを行い、20キロ近く痩せてその後47歳で妊娠した患者さんもいました。

——初期胚vs胚盤胞というのは患者さんの関心事の1つですが、先生のお考えをお聞かせください。貴院では胚盤胞培養まで行うのが主流となっていますか?

30代までの方については、胚盤胞まで培養することを主流とし、1回の胚移植で結果を出すことを目指しています。移植当たり妊娠率が初期胚よりも1.5倍程度高くなります。

一方で、40歳を超えて1、2個しか採卵できなくなった人などには、初期胚で戻すようにしています。最新技術をもってしても、現在の培養環境は完璧ではありません。今後どんどん改善していくでしょうが、高齢の方の場合は(子宮内と比べて)7割程度の状況でしょうか。この2-3割の差で、胚の発生が止まってしまうのです。やはり子宮内で育てる方が胚への負担は少なくなります。

また、胚盤胞は凍結に弱く、高齢の方の場合は凍結融解時に収縮してしまうので、初期胚の方が良いということもあります。

⑥胚移植

——貴院では移植時に男性パートナーが立ち会うことを推奨しているのですね。

イスラエルで行った研究では、移植後の患者さんをコメディアンが笑わせることにより妊娠率が有意に向上しました。移植だけではなく治療全般に当てはまることですが、笑うことでストレスが軽減され、それにより血流やホルモンの分泌が良くなり妊娠率が上がると思われます。当院では、パートナーが立ち会える場合には立ち会って頂き、奥様にリラックスしてもらいながら移植を行います。これにより、実際に妊娠率が高くなっています。

両角レディースクリニックの休養室。男性パートナーも一緒に入室することができる。

両角レディースクリニックの休養室。男性パートナーも一緒に入室することができる。

⑦着床率向上の工夫

——着床率を向上させるために、貴院では凍結胚盤胞移植時は100%シート法(子宮内膜刺激胚移植法)を行うとのお話がありました。

シート法は、神戸の英ウィメンズクリニックが考案した手法です。元々は多胎率を減らすために、二段階胚移植(初期胚と胚盤胞を、同一の移植周期において時期をずらして移植する方法)に代わるものとして生み出されました。胚盤胞移植の2-3日前に培養液を子宮内に注入し、着床しやすい状態をつくります。

シート法により、妊娠率が上がります。内膜を少しスクラッチし、刺激することにも効果がありますし、移植本番の前にカテーテルを一度入れておくことができるのもメリットです。稀にカテーテルがうまく入らない場合があるのです。

あとは、自然周期で移植する場合は、排卵済みであることの確認にもなりますね。

——非常に高い妊娠率ですが、やはり上記7項目すべてにおいて細心の注意を払いながら治療に取り組んでいることの成果なのでしょうか?何が一番重要な指標となりますか?

2017年の凍結胚移植妊娠率。

2017年の凍結胚移植妊娠率。

個人的には当院の妊娠率が高いとは考えておらず、まだまだ改善させていきたいと思っています。現在の実績においては、胚培養士の努力によるところが大きいと考えています。私自身大学病院で全ての培養業務をしていたため培養室の業務はほぼ把握していますが、当院のラボのレベルは非常に高いです。すべての作業が非常に早く、かつ丁寧でものすごいクオリティを保っています。

培養の質はいかに引き算をさせないかによります。早くかつ丁寧に、そして正確にやることが重要です。外気に触れる時間が多ければ多いほど、培養の質は悪化していきます。素材、つまり精子と卵子の能力を最大限生かすためにはスピードが重要になってきます。

もう一つ挙げるならば、移植技術も重要です。同じ受精卵であっても、どこに移植するかによって妊娠できるかどうかが決まります。そのさじ加減が重要なのです。

——流産率も(日本全体と比べて)低いとのことですが、その理由としてどのようなことが考えられますか?

流産しにくい受精卵というのは、つまりエラーのない受精卵ということです。培養時のマイナスの少なさが影響しているのではないかと考えています。

同じ夫婦の同じ受精卵であっても、病院によってその質は変わってきます。PGS(着床前スクリーニング)を行えば、その差は顕著に出ます。エラーの率が、良い病院と悪い病院とで倍違うのです。

両角レディースクリニックについて

——治療を成功に導くための高い技術はもちろんのこと、貴院では待ち時間のメールでの呼び出しや二人目不妊の方向けのファミリールーム(無料託児室)など、通院のストレスを減らすための様々な工夫がなされていますね。

両角レディースクリニックのファミリールーム。

両角レディースクリニックのファミリールーム。

子どもを預ける場所がないから二人目の治療を諦めるという方が多くいらっしゃいます。本来であればもっと世の中に託児所が増えればよいと思うのですが、国や行政に頼っていてもなかなか進まないので、自ら設置し、保育士の方に常駐してもらっています。

当院では、患者さんの約35%が二人目以降の治療の方です。数か月前までファミリールームの予約が一杯だったので、リノベーションを行い拡張したところです。

——子連れの患者さんと他の患者さんが顔を合わせないよう、エレベーターまで分けていらっしゃるんですね。

一人目の方、二人目以降の方、どちらの患者さんにも配慮するために、そのような措置をとることにしました。子連れの方には、スタッフ用エレベーターを使用して頂き、ベビーカーでファミリールームのフロアに直接来て頂いています。

——貴院は日曜が休診ですが、採卵や移植のタイミングが日曜になりそうな際にうまく調整できるのでしょうか?

自然周期でない限りは、1日ならば薬でコントロールすることが可能です。但し、2日間コントロールすることは難しいため、祝日は診療を行い、2日連続で休まないようにしています。

医師の数を増やし、日曜の診療も行う、というのも一つですが、医師を増やすことで毎回違う担当になり、流れ作業的な診療になることは避けたいと考えています。当院は担当医制ではありませんが、医師を指名することは可能です。情報共有を行い、全ての患者さんを全ての医師で診ています。

——タイミング法、人工授精などの一般不妊治療も行っておりますか?

もちろん行っていますが、そういう患者さんはなかなか来ません。家の近所の婦人科等で行っている方が多いようです。

——なかなか妊娠できない患者さんに対してどのような言葉をかけていますか?

当院で実績のない高齢の患者さんには、正直に前例がなくあきらめるべきであるという話をします。それでも治療したいという人には真剣に付き合います。

妊娠できない理由が年齢要因ではない場合には、辛抱強く治療することを推奨します。若ければ、3年ぐらいかかってしまっても最終的にほとんどの方が出産します。共に頑張ろう、と励ましています。

——今後、妊娠率を一層上げていくために、どのような努力を続けていかれますか?何か患者側、また国・自治体等に求められることはありますか?

まず、国としてPGSを行うべきだと考えています。おそらくあと1、2年のうちに認められるようになるだろうと考えていますが。PGSを行うことで、良い受精卵を作るための研究がますます進んでいくでしょう。

当院の培養室には、必要な最新機器を何でも用意するようにしています。妊娠率の向上は、新しい技術、機械に頼る部分がやはり大きいのです。結果を出すためにはお金を惜しみません。

当院には働きながら不妊治療を続ける患者さんが多く、仕事との両立が本当に大変だと感じています。昨年、厚生労働省により「不妊治療連絡カード」がつくられましたが、国として、やはり法律等で治療のための休暇取得を認めるなり、もっと両立しやすい仕組みを作っていくべきです。マスコミにも啓蒙活動を頑張って頂きたいです。

両角和人院長

両角和人院長

1998年福島県立医科大学医学部卒業。板橋中央総合病院、福島県立医科大学、ハワイ大学医学部生殖生物学研究所留学、山王病院リプロダクションセンターを経て、2012年7月、東京・銀座に両角レディースクリニックを開業し、院長に就任。

両角レディースクリニックのHP

両角先生のブログ

両角先生のオフィシャルサイト

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