あなたは卵子ドナーになりますか?

2月19日の日経新聞に、衝撃的な記事が載っていました。

40代後半や50代になり「超高齢出産」をする女性が増えている。若い女性から卵子をもらう場合が多い。国内のルールづくりが進まぬ水面下で、現実が先行する。

…ほとんどの人が海外で卵子提供を受け、日本に戻り出産している。

…「ハワイで卵子提供。謝礼金あり」。20代後半でフリーランスの仕事をしている女性は3年前、交流サイト(SNS)で流れてきたある広告に引きつけられた。気軽に登録し、……ハワイに飛び、観光を楽しんだ後、病院で採卵。全身麻酔でぼんやりするなか、ホテルの前で業者から6千ドルを現金で受け取った。

女性はその後も年に1回、卵子を提供している。…

卵子提供についてはその実態を医師から話を聞いていましたが、まさか日経新聞にこのような記事が出るとは驚きました。

海外で卵子提供を受けることはもちろん、日本から海外へ卵子提供へ行くことはまだまだアンダーグラウンドな世界だと思っていました。。。

 

この記事にも記載されていますが、日本では卵子提供に関する法律は存在していません。

よって、国内で第三者から卵子提供を受けることは禁止されていませんが、実際には極めて限られた医療機関にて、極めて限られたドナーの卵子の提供を受けることになります。

主要なところでは、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)という全国の不妊クリニック29施設が加盟する団体があり、そこでは独自の倫理委員会を設置し、非配偶者間体外受精のガイドライン・実施規定を定め、これを遵守する案件につき全国6つのクリニックにて実施しています。

JISARTでの卵子提供の条件についてはHPでご確認頂きたいのですが、「ボランティア(無償)で卵子を提供してくれる34歳以下の既に子供がいる女性」が提供した卵子を、夫婦間の体外受精によって妊娠出来ない夫婦が使用できる仕組みです。

日経新聞に出てきたのは、海外での有償での卵子提供でしたが、JISARTは無償でかつドナーに子供が既にいることが原則条件。ドナーは簡単には見つからないでしょう。

現実的には、姉妹などのドナーを自分で見つけてこなければならない状況かと推察されます。

JISARTでの卵子ドナーによる体外受精の実施件数は、2007年以降の累計で73件、最も多かった年でも12件にとどまり、生まれた子供の数もたった37人です。

 

JISARTのほかに、NPO法人OD-NET(卵子提供登録支援団体)に登録する手段もありますが、現在はドナーの募集のみ行われていて、提供を受けるための登録は停止しているようです。

結局、手段・可能性が限られているため、斡旋機関を利用して海外で実施するほうが手っ取り早いのです。

 

卵子提供について、関係団体である日本産科婦人科学会による声明(2013年1月18日)は以下の通り出されています。

本会は、生殖医療に関する国内外の状況を踏まえながら、特に「精子・卵子の提供による生殖医療」は生命倫理に深く関わるものであるため、わが国の伝統・文化・法を十分に考慮し、広く社会的なコンセンサスを形成する必要があると考え、国民的な議論と法整備を含めた制度設計について「国の関与」を求めてきたところであります。……

……すなわち、「精子・卵子提供による生殖医療」において遵守されるべき基本的考え方は、「生まれてくる子の福祉を優先する」「人を専ら生殖の手段として扱ってはならない」「安全性に十分配慮する」「優生思想を排除する」「商業主義を排除する」「人間の尊厳を守る」であります。

 

国民的な議論と法整備を含めた制度設計・・・これは全くなされずに何年も放置されている状態です。

そのおかげでドナーも増えません。

金銭的・時間的余裕のある方が海外へ行き、高い対価を払ってドナー卵子を購入し、妊娠して戻ってきて出産する。それでよいのでしょうか?

対価がもらえるのであれば、とドナーになる方が出てきても、皆海外の卵子バンクに提供しており、国内の問題なのに海外に行かなければ解決できない状況です。

 

一方で、もし国民的議論をするのであれば。

あなたはドナーになりますか?

不妊治療を経験した自分は、どうしても子供が欲しいという気持ちが痛い程分かるので、もしもっと若かったら困っている人に卵子を提供したいと思います。

では、20代前半の自分はどう思っていたでしょうか。

そもそも卵子提供も不妊も全く身近なテーマではありませんでしたが、もし誰かに頼まれたらどう回答していたのか。

答えは想像つきませんが、不妊の苦しみというものをもし知っていたら、前向きに検討していたでしょうし、自分の身体ももっと大事にしたんじゃないかなと思っています。

自分の血を引く子供を持つ、ということの責任につき、20代の早いうちから考える機会があっても良いのではないかと思っています。

だから、若い人たちに、もっと不妊の事、正しい妊娠の事を知ってもらいたいですし、それがドナーの増加にも、結婚・出産の早期化にもつながるのではないかと信じています。

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