不妊治療をやったら妊娠できるとは限らない

辛い不妊治療を頑張り、やっとの思いで妊娠・出産できた、という成功体験は様々なメディアで語られますが、その裏にはどれだけ頑張っても出産までたどり着けなかった方々がたくさんいます。

体外受精の成功率(凍結した受精卵1個の移植により出産までたどり着く可能性)は、23.1%。

JISART(日本生殖補助医療標準化機関)に加盟する全国30クリニックの2014年の臨床成績によると、採卵あたり生産率(1回の採卵により出産までたどり着く可能性)は40歳未満で27.9%、40歳以上だとたったの5.3%です。

また、同ソースでの症例あたり生産率(体外受精を行う患者さんが出産までたどり着く可能性)は、40歳未満で40.2%、40歳以上だと11.8%です。

つまり、不妊治療の最終ステップとも言える体外受精まで行っても、40歳未満で6割、40歳以上だと9割近くの人たちが妊娠・出産できないということです。

不妊治療=絶対妊娠できる治療ではないのです。

 

昨日、オマリーさんの不妊体験記を掲載させて頂きました。

オマリーさんは、無精子症が発覚し、精巣から精子を採取する手術(MD-TESE)を行ったものの精子が全く見つからず、不妊治療を終えています。

通常の精液検査では射出精液から精子の状態を観察しますが、射出精液内に精子が見つからなくても、精巣内に見つかることがあります。

精子を運ぶ通り道に問題があるだけで精巣では精子がきちんと作られていたり(閉塞性無精子症)、精子になる前の細胞である円形精子細胞が残っていたりというケースがあります。

しかし、オマリーさんの場合は精子細胞まで含めて見つからず、なす術がありませんでした。

精子はゼロからは作れないのです。

 

妊娠できない患者さんにもいろいろなケースがあります。

オマリーさんのように精子がない男性もいれば、卵子がない女性や早期閉経の女性もいます。

精子・卵子はあっても、その質が低下していてなかなか妊娠に結びつかないケースもあります。

何も問題が見つからないのにどういうわけか妊娠しないということもあります。

そして何度妊娠しても流産してしまう不育症もあります。

 

自然妊娠できた人をうらやましく思う場面は多々ありますが、不妊治療に取り組む時間的・金銭的余裕があり、かつ出産まで経験することのできた自分は極めて幸運だと感じます。

オマリーさんや先日体験記を掲載させて頂いた不育症のここトトさんの事例から、身近な人がこのような苦しみの淵にいるとき、どんな風に支えていったらよいのか、少しずつ学ばせていただいています。

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