男性不妊の専門医は全国でたったの48名!

男性不妊に関する面白い調査結果を見つけました。

横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター泌尿器科の湯村寧先生が中心となり調査し、昨年3月に発表した「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究」というレポートです。

日本ではこれまでほぼ行われてこなかった、男性不妊に関する網羅的な調査の結果をまとめたものです。

 

これによると、

  • 男性不妊の専門医(泌尿器科領域生殖医療専門医)は全国にたった48名!
  • 調査に協力した医師(39名)の患者(7253名)においては、無精子症患者が全体の18%、高度乏精子症が20%程度と極めて高かった。
  • また、精巣腫瘍もこのうち17例で発見男性不妊は精巣腫瘍のリスクファクターである。

という衝撃的な事実が明らかになりました。

 

精液検査で病気が分かる。

Coelでは、男性が独身のうちから精液検査を受けることを強くお勧めしています。

妊娠率に加齢が与える影響は男性よりも女性のほうが大きく、男性側の状況を先に把握しておくことで女性の貴重な時間を無駄にせず、効率的に治療を行うことができます。

実際に、女性側の検査よりも先に男性の精液検査を行うことを義務付けている病院もあります。精子の状態によって女性側の治療内容が変わってきますので、本来当然な話。

また、サプリメントや漢方薬などでのソフトな治療により精液の状態を改善できる場合があります。

 

無精子症で、手術によって精子が採取できなかった場合は、第三者の精子を使った医療行為(非配偶者間人工授精・体外受精)や養子縁組・里親制度を含め、自分の将来の選択肢を中長期的に検討していくことになります。

数年先の選択肢を1人で検討していくことは容易なことではないでしょうが、現実を受け止めるには時間がかかります。少しでも早く知っておき、各選択肢について知識を蓄えておくことは将来のパートナーに対するやさしさです。

さらに、精液検査で分かるのは妊孕性だけではなく、上記のように精巣腫瘍など他の病気の可能性を探ることも可能です。

よって、今パートナーがおらず、子どもを持つことはまだまだ自分事として考えられない、という方にとっても意味のある検査なのです。

医師の間でもまだまだ理解の進まない男性不妊。

この調査では婦人科医にもアンケートをとっています。

男性因子を有する患者に対し、婦人科医から泌尿器科医にコンサルトを(ほとんど)行わない、という回答が14%もありました。

その理由として4割の婦人科医が、コンサルトできる泌尿器科医がいないという業界構造の問題を挙げました。

しかし患者さんにとっては専門医がいないからといって問題を放置されたらたまりません・・・

また、精液所見を改善しなくても、体外受精や顕微授精を行えば対応できる、との見方も。

それは精子の状態によっては一理あるのかもしれませんが、いずれにせよ良好な精子がなければ妊娠は実現しません。

 

男性不妊専門医、どこにいる?

不妊治療を真剣に始めるのであれば、できる限り男性不妊専門医のいる病院や、専門医との連携がとれている病院へ行くべきだと考えます。

もしくは、精液検査だけならばどこで受けても構いませんが、その結果数値次第では専門医のところで精密検査を受けるようにしましょう。

 

専門医がおり、男性不妊関連の各種治療・手術などを行っている病院の一覧は日本生殖医学会で開示しています(こちら)。

東京だと、例えば無精子症と診断された際に精巣内の精子を探す手術である、顕微鏡下精巣内精子回収術(MD-TESE)を行っているのは以下の病院です(たった7つ!)。

  • 恵比寿つじクリニック
  • 荻窪病院
  • 京野アートクリニック高輪
  • 帝京大学医学部附属病院
  • 慶應義塾大学病院
  • 東邦大学大森病院リプロダクションセンター
  • 板橋中央総合病院

精索動脈瘤の手術であれば、加えて以下の病院でも実施可能(但し手術の内容はそれぞれ異なる)です。

  • キネマアートクリニック
  • 陣内ウィメンズクリニック
  • 阿伎留医療センター
  • 昭和大学病院泌尿器科
  • 南多摩病院
  • 東邦大学医療センター大森病院

さらに、EDや射出障害の治療であれば数多くの病院で行っていますし、精液検査だけであれば大部分の病院で実施可能です。

いきなり病院で検査することに抵抗がある場合は、ぜひスマホでの精液検査からトライしてみてください。

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報告書へのリンクを貼っておきます。

ダイジェスト版

報告書(フルバージョン)

 

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