今年から、東京都民であれば不妊検査・タイミング法・人工授精の費用が5万円まで助成されます。
対象者
- 妻が35歳未満(検査開始時時点)の婚姻夫婦
- 所得制限なし
- 男女両方が検査を受けた場合
助成内容
- 以下につき5万円を上限に助成
- 男女の不妊検査
- 一般不妊治療(=タイミング法指導、人工授精。薬代含む)
こうした検査・治療にかかる費用は、例えば京野アートクリニック高輪の場合、
- スクリーニング検査: 男性18,000円、女性23,000円
- タイミング法指導: 不明(通常、一部保険適用となり自己負担は安価)
- 人工授精: 20,000円(診察代、薬剤代別途)
となっており、男女の検査代と治療費少々を助成金で賄えるようになっています。
今年の4月以降に受けた検査・治療の費用が対象となります。
10月2日から申請が始まり、申請期限は検査開始日から1年間ですので、該当する方は手続きを忘れないようにしてください。
国や地方自治体からの補助金はどのぐらい?
少子化対策の一環として、国や地方公共団体から不妊治療費用の助成が行われています。助成対象者の条件がそれぞれ異なるため、国の助成対象者に当てはまらなくても、自治体独自の助成の対象には当てはまるケースがあります。
2004年に始まった国(都道府県)からの治療費助成は、現在以下のような条件の下で実施されています。
対象者
- 妻が43歳未満(治療初日時点)の婚姻夫婦
- 夫婦合算の所得が730万円未満
助成内容
- 体外・顕微授精の費用の一部助成
- 採卵を伴う体外・顕微授精: 1回あたり15万円。初回のみ30万円
- 採卵を伴わない(=凍結胚移植。前回採卵時に複数個の受精卵ができ、凍結していたものを移植)体外・顕微授精: 1回あたり7.5万円
- 精巣精子回収術の費用の一部助成: 15万円
回数制限
- 治療開始時の妻の年齢が40歳未満の場合、通算6回まで
- 同、40歳以上の場合、通算3回まで
夫婦合算の所得が730万円、というのは、都内でフルタイムで勤めている30代・40代の夫婦であれば越えてしまうケースが多いのではないかと思われます。
また、治療費用は例えば京野アートクリニック高輪の場合、
<一番安い自然周期で体外受精を行う場合>
- 卵巣刺激:2-5万円
- 採卵~胚移植:26万円
- 胚移植~妊娠判定までの診察・検査・薬剤代:5万円
合計:33-36万円。これに様々なオプションの代金が必要に応じて数万円加わります。顕微授精になった場合は+5万円です。
自然周期では一度の採卵でとれる卵の数が少ないため、アンタゴニスト法などの刺激法を(その方が合うという医師の判断のもとで)選択する場合は、卵巣刺激だけで7-23万円かかるため、合計38-54万円に。
よって、自然周期での体外受精を初めて行って、33万円かかったけれど30万円助成された、というケースであれば極めてラッキーですが、何度か体外・顕微授精を行う場合はいずれにせよ毎回20-45万円の自己負担が生じます。
精巣精子回収術の場合は40万円ですので、25万円の自己負担+顕微受精の費用がかかります。
大学病院等での治療であればもう少し安価な治療が受けられますが、それでも通常は十数万円~数十万円の自己負担があります。
加えて、自治体独自の助成金を(場合によっては重ねて)申請することが可能です。
例えば、東京都港区の場合は、
対象者
- 年齢制限なし(但し2021年度からは治療開始時の妻の年齢が42歳まで)
- 所得制限なし
助成内容
- 医療費総額から、都道府県等の助成額(もしあれば)を差し引いた金額に対して、
- 体外・顕微授精の費用の一部助成: 1年度当たり30万円
- 精巣精子回収術の費用の一部助成: 1年度当たり15万円
回数制限
- 通算5年度まで
所得・年齢制限がないというのは大変ありがたいことです。東京都からの助成と合わせると、体外受精1回あたり数万円の自己負担で済む方もいらっしゃるでしょう。
港区では分娩費用も18万円(上限60万円-出産育児一時金42万円)を助成していますし、認可保育園の保育料も第2子以降は無料!
少子化対策を大変充実させています。
そして、話は戻りますが今回の東京都の新規助成金。
これまで見過ごされてきた不妊検査・一般不妊治療への所得制限なしの助成ということで、一層多くの患者さんが助成の対象となります。
不妊検査へ行くきっかけにもなるでしょう。
しかし、妻の年齢が34歳まで、、、というのは少し残念です。
東京都の女性の平均婚姻年齢は30.5歳(2015年)。初婚に限ると、婚姻時に35-39歳の方が12.9%(7,151名)、40-44歳の方が4.3%(2,377名)おり、合わせて35-44歳での初婚が17%です。
出産時年齢では、35-39歳が28.5%(15,702名)、40-44歳が7.5%(4,128名)、合わせて35-44歳での出産が36%に上ります。
35歳以上での結婚・出産の比率が高い東京都だからこそ、年齢制限がなかったらよかったのですが、残念です。
とはいえ、まずはこれをきっかけに20代後半~30代前半の方の妊娠に対する姿勢が変わるとよいなと思います。
東京都福祉保健局 人口動態統計(平成27年度)へはこちらからどうぞ。
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