不妊体験記

アイコン:ここトトさん
掲載日:2017/05

Vol. 5

体外受精で妊娠するも、不育症による流産と原因不明の死産を経験。その時、夫は?

ここトトさん

治療終了時年齢 治療終了時 30代後半 30代後半

体外受精で妊娠するも、不育症による流産と原因不明の死産を経験。その時、夫は?
ここトトさんのケース
結果
不育症、体外受精による妊娠後に流産・死産
症状
なかなか自然に妊娠しない
治療法
不妊検査、タイミング法指導複数周期、人工授精複数回、体外受精5回(採卵2回・胚盤胞移植5回)、不育症検査・治療
治療開始時年齢
30代前半
30代前半
治療期間
約5年

体外受精で妊娠するも、不育症による流産と原因不明の死産を経験。その時、夫は?

不妊治療を行う中、旦那さん(または男性パートナー)の協力や理解が得られずに苦しんでいる女性は少なくありません。大事な日に旦那さんが遅く帰宅して喧嘩になったり、何気ない言葉に傷ついてしまったり、どうして分かってもらえないんだろうという気持ちを抱えているかたは多くいらっしゃるでしょう。

そんな女性が、男性の気持ちを少しでも理解するために、一方で、男性が自分自身がいかに不妊治療に関わっていくべきかを考えるために、こちらで紹介するここトトさんの体験記とブログを二人でお読みになることをお勧めします。

ここトトさんと奥様は同い年の仲良し夫婦。約5年間の不妊・不育治療の記録を、夫の目線でブログ「理系男子のボクと奥さんの不妊治療のこと」にまとめています。

彼らは、あなたの想像を絶するであろう苦しみや悲しみを経験しています。何度も壁にぶつかり、どうすることもできない結果に見舞われますが、それでも夫婦で歩むべき道を模索し、前に進んでいらっしゃいます。彼らの経験から、不妊治療と妊娠・出産の1つの厳しい現実を知ってください。夫婦のあり方を考えてみてください。

おや?ボクらは「不妊」なのか?

多くの不妊に悩むご夫婦がそうであるように、ボクたち夫婦もそう思ってました。「結婚すれば子供はできる」と。

理系男子の「ボク」と文系女子の「奥さん」、まったくタイプも考え方も違うボクたち夫婦ですが、お互い足りないところを補い合って仲良くやっていました。しかし結婚して3年間子供ができず、33歳の時に自分たちが不妊であることを意識し始めました。

不妊検査の心理的ハードルは決して低くない。

自己流の基礎体温法ではうまくいかない。ボクは奥さんに一緒に不妊検査を受けに行くことを提案しました。しかし怖がりで病院嫌いの奥さんにとっては、とりあえず検査だけなんて簡単なものではない。不妊クリニック受診の決断には少し時間がかかりました。

不妊の原因は、見つからなかった。

不妊検査の結果、ボクにも奥さんにも異常は見つからなかったため、とりあえずタイミング法からはじめて、その後人工授精にステップアップする方向で治療を開始しました。不妊治療している、ということをあまり大げさに考えたくなくて、ダメなら子供はあきらめて二人で楽しく生きていこうよ、なんてこの時は話していました。

大きな期待と、最後に必ずやってくる落胆に翻弄される日々。

タイミング法、人工授精を結局1年半続けましたが妊娠することはできませんでした。治療のたびに期待は大きく膨らむ。判定日が近づくとソワソワして何も手につかなくなる。それでも、最後には必ず落胆がやってくる…。職場との関係などのストレスも加わってボクたちは疲れ果てていきました。そして4回目の人工授精を終えて、不妊治療を一旦お休みすることにしました。

二人で取り組む体外受精。

半年間のお休みの後、主治医の勧めもあってボクたちは体外受精へとステップアップしました。採卵前の誘発剤の自己注射、注射液の準備はいつもボクの役目でした。採卵も受精も予想以上の好成績。そしてなんと1回目の胚盤胞移植で妊娠!ボクたちの初めての子どもが、奥さんのおなかにやってきてくれました。

突然の別れ。

しかしその子は、激しい腹痛とともに6週目の流産で亡くなりました。ボクたちには、どうすることもできませんでした。あまりに突然で、あまりにつらいやり場のない感情が生まれました。

水子供養をお願いしたお坊さんのお説法のお陰でボクたちは、忘れようとなんてしなくていい、ずっとこの子と生きていけばいいと思えるようになりました。

予想外の不育症診断。

その後化学流産が続いたため、医師の勧めで受けた検査の結果、プロテインS欠乏症による不育症であることがわかりました。もちろんショックではあったけど、ちゃんと治療法がある異常がみつかったことをボクたちは前向きにとらえるようにしました。またこの時期に奥さんに不妊カウンセリングを受けてもらったことは、心理的に大きな助けになりました。

ついに妊娠!しかし再び…。

4回目の胚盤胞移植で再び妊娠!抱き合って泣きながら喜びました。不育症対策のヘパリンを毎日注射しながら、ボクたちは順調にマタニティライフを送っていました。奥さん似の可愛い女の子の誕生を、誰もが心待ちにしてくれていました。しかし病院での陣痛中、突然の胎児心拍低下で娘は亡くなりました。40週、緊急帝王切開の末の死産でした。

ボクたちの天使。

大変だった不妊治療でようやく授かったの娘の死。それを乗り越えることは、ボクたちにはまだできていません。それでも娘との楽しい思い出をこれからも作っていこうと思えたこと、周りの人たちに親切に大切にしてもらえたこと、ブログを通じて同じような経験をされた方々に共感をいただいていることが支えとなり、心穏やかに過ごせる日は増えてきました。そして今度はあの子の弟妹を作ってやろう、あの子をお姉ちゃんにしてやろうと思えるようになってきました。

不妊治療は、ふたりで受ける治療。ボクは、奥さんといっしょにたたかっている。

「不妊治療にむかう夫には“愛する妻のために”と考える人が多い」という記事を読んだことがあります。でも、ボクはそんなことを考えたことはありません。ボクは奥さんとの子どもがほしい。そして、奥さんはボクとの子どもがほしい。だから子どもができないのは、いつだってふたりの問題なのです。

夫が不妊治療に“協力する”という表現も好きじゃない。夫はその当事者じゃないみたいに感じる。でも不妊治療って必ずしも医療的なことだけじゃないと思うので、男性側もちゃんとその当事者として「いっしょにたたかう」気持ちをもてば、不妊治療のつらさってずっとましになるんじゃないかと思います(この話はブログ内のコラム「不妊治療したボクが考えていたこと」にまとめていますのでよかったらご覧ください)。

この体験談が不妊に悩むみなさまのお役に立てばうれしいです。

ここトトさんのブログ

理系男子のボクと奥さんの不妊治療のこと

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